(2)大学の趣旨の進化=産業界への貢献、地方経済への貢献
さて日本は、米国を模範とすることが多いのですし、
産学連携も盛んに米国の事例研究が行われ、官も学も米国モデルの導入に熱心でした。
その結果、日本の大学が目指しあるいは実績を上げつつある産学連携モデルは、
玉井克哉教授(東京大学先端科学技術研究センター)は、
米国型ではなく英国型であると断言されていました。(*1)
玉井説を簡単に説明します。
米国の大学は「産業界への貢献、地域への貢献」といったことを
直接的にミッションにしていることはないようです。
産業界へ貢献するのは大学ではなく企業であり、そういう貢献を目指すのであれば
ベンチャーを起業する、ということが米国の大学には根付いている。
大学教授がベンチャー企業の経営者でもある、という両刀遣いは当たり前である一方、
ベンチャー企業の仕事と大学の仕事とは個人個人の責任で切り分けているようです。
一方、英国の大学は地域経済へのコミットが当たり前であり、
研究成果を地域産業へフィードバックしているようです。
米国流儀を輸入したが、日本の風土や文化の中で自然に姿を変え、
結果として英国スタイルに似てきた、というでしょう。
今後は、「大学のミッションと外国の大学」といったテーマを研究するのには、
米国よりも英国のほうが参考になるかも知れません。
(*1)→2004年7月の日本知財学会での研究発表
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