3.リクルート社の挑戦
(1)ニーズは存在した
TLOは、大学発明を企業へ移転する機能が求められている。
したがって、TLOが本来的な機能を発揮するのであれば、
大学組織とは無関係なリクルート社においてテクノロジーマネジメントディビジョン(以下、「TMD」と略記する)
という組織が必要となることはない。
しかし、東海大学や立命館大学のように、
既に経験や歴史を積み重ねてきたような大学はほとんどなく、
技術移転のノウハウを持つ者もいなかった。
このため、大学教授のみならず、新設されたTLOにおいても
リクルート社のTMDに仕事を依頼するところがあった。
大学教授個人のみならず、TLOにもTMDの「アソシエイト」に対するニーズがあったということだ。
現TMD長の原氏によると、大学教授などの発明者と企業との間に入って
アソシエイトとして仕事をすると、双方から感謝されたという。
大学教授は、研究のプロであるが、契約やお金の話が総じて苦手だからである。
また、企業側としても、大学教授の発明が当該企業においては不要である、
という場合に断る言葉を探して窮していたらしいのである。