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◎弁理士試験:二次試験とは何か(2)

1.前回の「演算能力」とは何か

論文試験に要求されているであろう「演算能力」について、前回触れました。
さて、では演算能力とは何でしょうか?

選択科目の勉強のために通っていた司法試験予備校の講師は、

どんな問題でも法律の答案を書くには、その法律の原理から解きほぐせ!

と盛んに繰り返していました。
また、もうひとつ、印象的な言葉がありました。

二つまたは三つの立場に対する均衡が必要だから「法律」が存在するのだ、
新しい問題も、必ずその「立場を均衡させる」という視点から解きほぐせ!

という趣旨のことを繰り返していました。
このことを、私なりに「演算のための公式」と捉えてみました。

2.特許法における公式2つ

1)第一の公式は、「発明の保護v.s.発明の利用」ではないか、と考えます。
 (そんなことは分かり切っている、という声が聞こえてきそうですが)

たとえば、『国内優先権制度』を考えてみましょう。発明を利用する側の立場からは、どうでしょうか?
不利益よりも利益が多いでしょうか?
あるいは、妥協できるバランスが保たれているのでしょうか?

2)第二の公式は、「出願人(権利者)、特許庁、第三者のバランス」ではないか、と考えます。
同じく『国内優先権制度』を考えてみましょう。特許庁にとってどのようなメリットがありますか、
デメリットは妥協できるでしょうか?
あるいはデメリットを最小限に抑えるために、別に何か決めていないでしょうか?

以上の2つの視点、特に第一の公式における「発明の利用」
第二の公式における「特許庁」の立場から、基本問題をもう一度見直してみると、
大いに勉強になり、理解が深まると思いますので、一度やってみてください。

私はこの2つしか思いつきませんでしたので、これで押し通しました。
分類していけば他にも公式があるのかもしれませんが、
10も20もあったら使いこなせないと思います。

3.逆転のために公式をどう使うのか
問題文を読んで、どちらの公式を使うのか、どのような記憶データが必要なのか、
を組み立ててみましょう。

具体的には、本試験の過去問題、あるいは過去問題を題材として、
『法の原理』からもう一度、答案構成をしてみましょう。
模範答案という記憶データに頼らずに。

そうしてみれば、模範答案こそが正解、とは思えないということも掴めるのではないでしょうか。