(7)金融関係者の変化
金融関係者からの話を間接的に聞くにつけ、大手銀行などの金融機関が「知財」からの関心を
失いつつあると感じられるようになりました。
2004年、景気が回復し始めたからでしょうか。
「知財」や「大学」は、それら金融機関にとっては「パイ」が小さく、確実性も低い。
そのため、「知財」に注目していた金融機関の関心は、景気回復とともに収益性が改善された
不動産などに、また戻りつつあるのではないでしょうか。
「水もの」の知財より、消えてなくならない不動産や直接的な資産である年金の方が
やはり扱いやすい、と伝統的な業務に方向転換を始めたのではないでしょうか。
金融機関にとっての知財ブーム、産学連携ブームは、ピークを越えたのかもしれません。
採算が合わない大学の知財から金融機関が離れたら、
大学における知財教育は「成熟期」を迎える前に「衰退期」となってしまうかもしれません。
成熟期を迎えるには、大学にとって、投資家がますます重要になるでしょう。
投資家に対してアピールできる知財とは何か。
技術的な優位性とビジネスとしての魅力とが一致しないということはよく言われることです。
細分化多様化した技術と複雑化するマーケットとの橋渡しのできる
「目利き」の不足が叫ばれて久しいですが、未だに不足しているのではないでしょうか。
とすれば、目利きの教育も「大学における知財教育」の重要な項目の一つでしょう。
こうした「目利き」の教育もして欲しいという話は耳にしますが、
残念ながらこうした要請に応えられる弁理士は極めて少ないと思われます。