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◎大学における知財教育 第三十一回

(1)文化系学科の産学連携への参画

たとえば地方に空港や幹線道路などの公共施設を建設する、という場合、
大都市のシンクタンクなど「民」が各種の調査を行ってレポートを作成し、
「官」が参考にする、という構図が昔からあります。

そのレポートには各種の地道な調査が必要であり、人件費も掛かります。
人件費が掛かるということは、裏返せばレポート作成費に跳ね返り、
最終的には工事費に組み込まれ、税金にて賄われることになります。

その税金の割合が、国税、地方税でどれくらいなのかはともかく、
地方税の割合が増えていくことは時代の流れです。

とすれば、そうしたレポート作成に大学が協力したらどうでしょうか。
(私などが提言するまでもなく、既にいくつもの実例があるようですが。)

学生にとっては生きた経済学を学べる、地方自治体はコストを抑えて調査実態を把握できる。
単純に考えれば良いことと思えるのに、大きな広がりは見せていないようです。

ハードルになっているのは何か?
民業を圧迫するからなのでしょうか?
そういう教育のできる教員がいないからなのでしょうか?

「学問」としての経済学部、経営学部のポリシーにも関わってくることなので、
私のような者が踏み込むことではないかもしれません。

しかし、知的財産本部の存在に大学のパテントポリシーが重要であるのは間違いないとすれば、
「実学重視」なのか「理論重視」なのかは、切り離すことができない。
そこまで突き詰めるほどではなくても、かなり深い関係があるように思えてなりません。

産学連携の波動を文化系学部にまで広げる動きは、今後盛んになってくるはずです。
現に、今年で三回目を迎えた産学官連携推進会議(6月12,13日・京都国際会議場)でも、
文化系学部における産学連携を模索している団体をいくつか目にしました。

また、旅行会社が大学に対して寄付講座を設けたり、
新たな学部として観光学科が設けられたりと、「観光」を学問として追求する動きも出てきています。

 →第三十二回