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◎大学における知財教育 第三十四回

8.最後に(大学生を自分のライバルに育てる)

私自身、この原稿の締切にほど近い週末、
個人的なつながりで依頼された実験授業の講師を経験してきました。
聴講者の大半は大学生、大学院生でした。

私の拙い話を熱心に聞いていただいただけでなく、
こちらの心が熱くなるような質問やコメントをいただき、大変感激しました。

「発明、特許」という言葉に夢を感じ、それに関わる仕事をしたい、
なりたい自分になるために自分を鍛える場所とは、どこにあるのだろう・・・。
社会人になる時が迫ってくるあの時期に想像した、漠然とした不安や思い描く夢の形。
舞台裏とはいえ、生身の大学生に接する機会を持つと、
時折、自分の感じた不安や夢を思い出すことができました。

私は、師匠である弁理士のK先生に、以下のような言葉をいただいたことがあります。

「先輩に恩返しをしようとしても、できるものではない。
恩返しは自分の後輩(後進)に対してやりなさい。」
 

最近の私は、師匠の言葉を
「自分の力を伸ばしたければ後進の指導をすること」と言い換えて、自分に言い聞かせつつ、
自分の周りにも伝えています。

後進の指導は、未来の自分のライバルをつくることです。
自分がだらけていたら、成長したライバルに抜かれてしまうでしょう。
強い特許権に守られてあぐらをかいた企業が、いつの間にかライバル企業に抜かれるように。

自分が面倒を見た後輩に抜かれたくないというプライドを持ち続けられれば、
自分のような者でも動きの激しい知財というこの世界で何とか生き残っていけるのでは、
と期待を込めて。

理想先行ではありますが、知財の広報活動、教育活動にご参加いただけますようお願い申し上げます。
支援を要請くださる方々に喜んでいただけるとともに、
自分を伸ばす最高の機会となることをお約束できます。

自分が関わった大学生が後に大発明をしたり、大きな成果を上げることを想像すれば、
これほど楽しいことはありません。
将来のライバルを誕生させたとすれば、怠けていられない、
もっと頑張ろうと決意を新たにすることもできます。

大学へ自分が関わった知財教育をきっかけに、大学生の意欲に火がついたり、
世界的な発明が産まれるきっかけになるかもしれない、という楽しい空想をしませんか!

『大学における知財教育』 以上。