税金の有効活用という視点から、
「支援事業が終了した後もモデル企業に役に立つような支援を!」
と案出したプレゼンでしたが、
税金が一企業にのみ投入されることについては反対意見もあることでしょう。
(そうした批判をかわすためというだけではないでしょうが、モデル企業に採択される中小企業は
創業以来赤字がない、といった、いわば税金を納め続けた優良な企業に限られているようです。)
さて、理論と実務とが異なり、実務が理論を変えていった事例を紹介しましょう。
税金が一企業にのみ投入されることについて、理論的に考えればおかしい。
ということは、税金で運営されている国公立大学が取得した特許を、
一企業にライセンスする事はまかりならん、ということになります。
そこで、国公立大学が取得した特許は、通常実施権しか設定できなかったようです。
しかし、実務は理論が考え及ばないところにあった。
大学が取得できる特許は、製品からは遠いので、
製品化を実現するためには長い道のりが必要だったのです。
その長い道のりを進んでいくのに対して、通常実施権ではインセンティブが不足しており、
結果として製品化に結びつく事例が極めて少なかったのです。
そうした「実務」を踏まえ、いわゆるTLO法など各種の法律が整備されたのは、つい最近のことです。
産官学連携が叫ばれ始めた頃、産の方々が、官や学に対して、
理論理屈じゃ実務はできない
と異口同音に仰っていたことを思い出しました。
しかし、「連携」が活発になったからこそ、
実務が法律という理論を変えた事例として捉えるという見方ができるかな、と思います。
いかがでしょうか。