「フルヤ弁護士からの内容証明郵便によれば、
『ムラナカの発明の譲渡対価および特許の報奨金として、
5年間の経常利益200億円の5%である10億円を支払え。』
というものです。」
間をおいてから、総務部長が説明した。
「社員の成果は会社のモノだろう?
車の営業マンが300万円の新車を100台売ったら、
3億の売り上げ、5000万円の利益、その5%の250万円を支払え、
なんていう裁判と同じだろう? そんな話は聞いたことないぞ!」
ナベツ台風が吹き荒れた。
「特許法29条によると、従業員が発明した結果は従業員の所有財産なのだそうです。
その従業員の所有財産を会社は、正当な価格で買い上げなければいけないと、
特許法の35条に定められているのだそうです。」
総務部長は、たどたどしく、必死で説明した。