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◎知財コンサルティングに関する考察(10)

(3)仲介者と代理人との違い

「知財取引、知財流通、知財信託」などが時代のキーワードになりつつありますが、
そこに対して参考になればと思い、以下にご紹介いたします。

弁理士は、対立構造にある当事者の一方のみの利益にコミットして仕事をしています。
ですから、双方の利益を引き出す「仲介業」を経験したことのある弁理士や
知財関係者は多くはないと思います。

また、いわゆる売り手・買い手と立場を分けるとすると、
売り手買い手の双方の条件を天秤に掛けながら駆け引きの間に立ち、
双方から手数料をもらうという「仲介業」は、
一方のみから手数料をいただく弁理士の特性とはかなり異なると感じています。
また、危険性も感じました。

仲介業を弁理士が経験していないから、という理由ではありません。
といいますのは、同じ仲介業でも、不動産業のように取引事例が豊富にあれば良いのですが、
双方の間に立って双方の妥協点を探るには、
「知財取引」売買は表面化しないこととあいまって事例が少なく、歴史もないからです。

したがいまして、「技術仲介者」という職業は、
双方からの信頼という不明確(「属人的」と記すべきか?)で
経時的に可変な属性がありそうですし、win-winの関係どころか仲介者しか得をしなかった、
としてビジネスの幕が閉じられるおそれがあります。

「知財取引、知財流通、知財信託」といったことが取り上げられることの多い現在、
上記した「仲介者と代理人との相違」については、
頭の隅にでも置いておいてもらえたら役に立つかもしれないと考えています。