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◎知財コンサルティングに関する考察(13)

4.弁理士の現在および将来像

はなはだ僭越ではありますが、弁理士が知財コンサルティングを行っていくには、
現業のスタイルではニーズに応えられないと考えられる事について列挙してみます。

(1)知財関係者は知的創造サイクルのブレーキ?
誤解を恐れずに言い切れば、知財業務の大半は法務的なリスクマネジメントにあります。
したがって、
裁判所=判例を教訓としてリスク回避や管理に思考が傾くのが、
知財関係者(企業の知的財産部および特許事務所の弁理士)であろうと思います。

しかし、マーケット(あるいは社内の営業部署)は「顧客満足」を求めて動く生き物であり、
判例にはないことが日常的に起きます。
一方、判例が想定しなかったようなことこそが、「創造」であり、「知財誕生の源泉」です。
この「創造」を育てつつプロテクトせよ、というのが弁理士に課せられた大きな仕事の一つです。

プロテクトは日常の仕事であるとしても、
「創造」を育てるということを仕事としてやっているだろうか、ということは、
自分への、そして特許事務所業界への疑問です。

大阪ガスが開催したMOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)講座を受講した友人のK弁理士が、
MOTの多くの講師が異口同音に語っていたとして、以下の言葉を紹介してくれました。
『管理は創造を産まない』

知財が利益を生み、その利益で創造へ再投資をしようというのが政府が提言する
「知的創造サイクル」でありましょう。
それに異を唱えるわけではありませんが、知財関係者の性癖として「創造」を潰していないか、
と思う場面は、確かに少なくありませんない。

「それは法務の立場としてはゴーサインを出せない、止めてくれ。」、
「判例から推察するとリスクが高い。」など。

白黒はっきりさせずにグレーな判断が多いと他の部署が感じている、ということも耳にします。

知財関係者は自らの業務に真面目であればあるほど「創造」を潰しているのかもしれない、
ということを、自戒を込めて。

「知的創造サイクル」という理想を現実化するためには、
自分たちの性癖を押さえ込まねばならない場面もあるのだということを。

知的創造サイクルのブレーキではなく、
ガソリンやアクセルであるためには(かといって「知財バブル」を煽るようでは本末転倒ですが)、
知財関係者にもリスクをヘッジする「知恵や工夫」が必要なのだということを。

大阪ガスのMOTについて
http://www.isupport.jp/mot/osaka/index.html