(2)リサーチ能力とアウトプット能力
知財コンサルティング業を考えるには、
コンサルティング業を組織的に行っている大手シンクタンクが参考になると思われます。
大手のシンクタンクのいくつかは、「XRI」と略記されていますが、
その「R」はいうまでもなく「リサーチ」です。
つまり、コンサルティング業は、
リサーチ能力とそのリサーチに基づいたアウトプット能力が求められています。
リサーチについては、「リサーチャー」というコンピュータを駆使した能力に限らず、
アナログ的というか人間的なインタビュー能力なども要求されています。
さて、特許事務所で明細書作成に没頭している弁理士に
「リサーチ能力」が備わっているでしょうか。
先行特許調査はクライアント任せ、インタビューは信頼関係を構築した発明者のみ、
といった典型的な特許事務所において、リサーチ能力が鍛えられる機会は、多くありません。
リサーチは特許事務所の仕事を減らす方向に働くという構造的な壁もあります
(類似する先行特許が見つかったら出願が取りやめになって仕事が減るのですから)。
そもそも何を調べるのか、すなわち仮説を立案してどんな調査をするのか
というところから始まるのがリサーチの仕事です。
調査対象を特許文献に限っている先行技術調査では、
そのスキルがどれだけ向上しても、コンサルティングに使えるリサーチスキルは
ほんの一部ではないでしょうか。
特許に係る製品のマーケット規模、値ごろ感のある価格帯なども、
特許取得可能性と併せて求められたりすることもあるからです。
知財コンサルティングに特許明細書作成のスキルが必須
だとの考えを前述させていただきましたが、
リサーチ能力も知財コンサルティング業のコアとなる位置づけかもしれません。
業務のコアであるならば、外注できる範囲は限られるように思われます。