(6)知財部の進化
特許事務所サイドが変化すべきことについていくつか言及してきましたが、
会社の知財部に対しても変化が求められているように思います。
ビジネスモデル特許ブームを機に経営層にも特許への関心が広がり、
昨今の「知財立国構想」によって関心は高まりました。
社内のR&D部門のトップからも「技術経営(MOT)」の見地から、
知財部への関心が高まっているようです。
つまり、経営者層からも発明の源流たるR&D部門からも、
これまで以上の役割を期待されるようになったのが現在の知財部ではないかと考えています。
知財部の方とともにパテントマップを作成したり、
そのパテントマップに基づいた経営レポートの下書きを作成させていただいたりした経験をもとに、
僭越ながらいくつかのセミナーにてご紹介させていただいています。
知財部が保有している大量の暗黙知を形式知に加工して、
経営陣、R&D部門、マーケティング部門に配達して欲しい、という願いを込めています。
ただし、知財部の知を加工したり発信したりしたくても、
知財部に対するバックアップ
(具体的には人的予算的な後ろ盾や知財部員へのインセンティブや評価項目など)
がないという現実問題もあります。
発明者の報奨金制度が注目され、
「稼げる知財部」といったスローガンも聞こえてきますが、
「知財立国=知財立社」であるとすれば、知財部の進化や組織の壁などについても、
議論すべきではないかと思います。
なお、上記の視点は、
東京工業大学・大学院の田中義敏教授が研究テーマとされており、
私も研究員として参加させていただきました。
その成果物は、発明協会を通じて出版される予定です。
参考 http://cipo.jp/articles/20060804.html