「先輩、どうして俺の内面、そんなに分かるんですか?そんなに話したことないのに。」
「あんた、正直だから、顔に書いてあんのよ。」
「自分じゃ、クールなつもりだったんスけどね・・・」
「ばっかじゃないの。そういうのを真正ナルシストって言うのよ。覚えておきなさい。」
「はい、分かりました。今夜はトコトン呑みます。つき合ってください。」
「そういうとこが、ナルシストだっつってんのに、呑み込み悪いわねぇ。」
「呑み込み悪いから、トコトン呑みます、って言ってんじゃないっすか!」
「ん、今のはなかなか良い切り返し。座布団1枚ってとこかな。」
「でも先輩、俺のこと、心配してくれてたんっすね。感激です。」
「またまたナルシスチックになってきたわね!」
「いや、そんなことないです。」
「しおらしい切り返しのつもりかもしれないけど、全然ダメよ、そんなの。座布団没収!」
「そういうズバッとしたとこ、惚れちゃいそうです。」
「今のは最低! 口説き文句として三流以下!」
「っん、先輩、かっこいい!」
「あんた、救いようのない馬鹿! すっごく面倒くさくなってきた。その一杯呑んだら帰るわよ。」
どこからが演技なのか。彼にしても、彼女にしても・・・