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◎説明責任(2)

U弁理士の事務所の電話が鳴った。

「あ、Y社のFさんですね、どうもご無沙汰しております。
 特許証をお送りして以来ですね。どうされましたか?」

「どうされた、じゃないぞ!」
いきなり喧嘩口調である。

「せっかく特許を取ったのに、特許権侵害の警告という通知が来ているんだ!
 これはどういうことなんだ?」

「もしかして、先行特許として調べて出てきたZ社からの警告ですか?」

「そうだよ! だが、こっちだって特許庁のお墨付きが出たんだ、
 どうしてZ社から文句が出るのか説明してもらいたい。」

「御社の出願は特許されたのですが、先行するZ社の特許を利用しなければならない、
いわば応用発明として特許が成立したので、特許製品を製造するには、
Z社のライセンスを受ける必要があるのです。」

「そんな説明、聞いていないぞ!
 おまえの所の説明義務違反じゃないのか?」

「いえ、説明はさせていただきましたよ。 同席された技術のGさんなら
覚えていらっしゃるのではないかと・・・」

言った、言わない、の水掛け論になりそうだ。

U弁理士は、電話口で考えた。
「これからは、利用発明として成立したことの説明は、文書で出さなくては・・・」