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◎それもコンプライアンスなの?

X社は、社会人用の教育コンテンツを作成する会社であり、A氏はその社長である。

A氏は、社内業務に必要なある事務機器を、事務機器の販売会社であるY社に発注し、
年度末の経理処理も終えていた。

しかし、なかなかその商品が暫く届かなかった。
年度末をまたぐ忙しさもあって、A氏自身も発注したことを忘れていたので、
一ヶ月ほど経過してからY社に問い合わせてみた。

すると、Y社の担当者Bは、
「済みません、受注処理ができていませんでした。」
との返事。

「X社としては、経理処理が終えているので、先月分の発注として請求書を発行してください。」
とお願いすると、

「申し訳ありませんが、Y社の社内コンプライアンス上、それはできません。」
との回答。

「おいおい、顧客への対応をおろそかにして『コンプライアンス』はないだろう?!」
A氏は苦言を呈した。しかし、B氏も苦しい立場にあるのだろう。

「申し訳ありません」を繰り返すだけで、譲ろうとはしない。

コンプライアンスを盾に、何か大事なことが置き去りにされていないか。
それは、コンプライアンスとして、本物ではないのでは?
A氏は考え込んでしまった。

B氏も考え込んでしまったのだろうか。
暫くして、A氏がY社に電話を掛けると、B氏は退職した、という。

なお、B氏の退職原因は「鬱病」であったが、Y社は個人情報保護というコンプライアンス上、
A氏がそのことを知ることはない。