このコラムは、『成長とは量的拡大、発展は質の転換を伴う進歩 である』、
との教えを頂いた妹尾堅一郎教授に刺激を受けて書いたものです。
妹尾先生による「成長と発展」についてのコラムはこちら ↓↓↓
http://www.ntt.com/ict/trend/article/opinion/vol3/index.html
ある田舎町にあるパン屋がありました。
そのパン屋は、主人Aと一人のパン職人Bが働いていました。
主人Aは、
「パンは、パンのためにあるのではない。
美味しい食事のためのパン、お米のご飯に飽きた時のパン、
お菓子の代わりとしてのパン、
いろいろあるのだ。
だから、食事が提供できなければパンだけでは意味がない。」
という考えを持っており、
調理師の免許を取得し、パンに合うコーヒーや
シチューなどを出す小さな喫茶店も、パン屋の片隅でやっておりました。
一方のパン職人Bは、
「俺はお客さんが注文するパンを作ればいい。
どういう食事にそのパンを使うかは、お客さん次第だ。」
と考えており、常連さんの注文するパンを作っていました。
主人Aが、
「勉強になるから、あなたも調理師の勉強をしたらいいですよ。」
とパン職人Bに勧めても、興味を持ちませんでした。
主人Aが留守の時に主人Aの分までパンを作ることはあっても、
喫茶店を手伝おうとはしませんでした。
しかし主人Aは、興味のないことを強要しても仕方がないと考えているので、
このことで二人が衝突することはありませんでした。
さてさて、田舎町のこと、喫茶店がいつも満席というほどお客も来ないのですが、
喫茶店の仕事とパン作りでは勝手が違うため、
主人Aは、どちらも同じくらいの時間を掛けて働いています。
パン職人Bは、料理やら食材やらの勉強をする主人Aの姿を見て、
本業のパンがもっと売れるように、営業してきてくれればいいのに
とあきれていました。