ベンチャー企業X社との打合せ。発明者A氏と社長B氏が心配しています。
「開発はうちがやりました。でも、開発費はY社から全額出ているのです。
我々は、発明者になれるだけですよね?」
「そんなことはありません。
特許を受けることができるのは、原則として発明者です。
その発明者が、特許を受けることのできる権利をどこに譲渡するか、
譲渡を受けた会社が出願人になれるのです。」
「発明者は、我が社のAです。
しかし、この1年の開発期間中、我がX社がAに払う人件費は、
Y社からの発注がなかったら出なかったのですが・・・」
「お金の出どころと、真の発明者が誰なのか、は別問題です。
また、Y社を共同出願人にしたいかどうかも、別問題です。」
・・・・
というように、教科書通りの原則で答えられるでしょうか。
お金がどこから出ているのか、といった現実問題を持ち出されたとき、
いくら教科書で学んでいたとしても、こうした経験を一度くらいしていないと、
自信を持って答えられないモノです。
換言すれば、教科書に書かれている事柄が現実にはどのような場面で使われるのか、
想像しながら勉強できれば、実務能力と勉強とは一緒にアップしていくでしょう。
(2008年7月)