特許事務所において、「個人発明家」はあまり歓迎されないお客様です。
それはなぜか。
知的財産を現況よりも過大に捉えている
ということでしょうか。もう少し詳しく書いてみましょう。
第一に権利範囲。
自分の発明や、登録したい商標などを、過大に捉えています。
先行している他人の権利を客観的に捉えていない、からです。
第二にビジネスにおける知的財産の力。
知的財産だけが強大な企業、というのは滅多にありません。
知的財産は、ビジネスの中の一項目に過ぎません。
そこまで分かっていると、個人発明家さんは自分で事業をやらない、という
選択肢に向かいます。
商標を他人に使わせる目的で取得しようというのは論外ですが、
発明についてもほぼ同じことです。
すなわち、自ら事業をするのではなく、ライセンス目的で特許を取得したい、
と考えているようでは、まずうまくいきません。
第三に他人に対する謙虚さ。
凄いことを考えた自分は偉いんだから成功するはずだ、
お前も私に協力して成功させよ、
というような尊大さを感じさせられることは少なくありません。
もちろん、こんな方ばかりではありません。
知り合えて良かった、という方もいらっしゃいます。
知り合えて良かった、と思える方は、上記の三つはいずれも感じさせられることは
ないということは、私の経験から言えることです。
(2008年7月)