「T君、セクハラ訴訟って、面倒で大変なんだよ。
第三者がいない密室で、セクハラ行為があったのか無かったのか、を争っていかなくちゃならない。」
「ああ、そうか、向こうは『セクハラなんてしていない』と言うに決まってますしね。」
「その通り。そうした裁判が大変なだけじゃなくて、
次の就職先を探すのにも、日本ではプラスにならないんだ!」
「えっ、どういうことですか?」
「セクハラ訴訟の原告になったことがある、という女性を、是非雇いたいという会社と、
できれば遠慮したい、という会社と、どっちが多いと思う?」
「・・・なるほど、そういうことなんですか。」
「残念ながら、日本という社会というのか会社というのか、そういう所だから。
だから、私は会社法あたりを得意分野にしているけれど、セクハラ訴訟はお薦めしないんだ。」
「何だか、Rにとっては踏んだり蹴ったりの話ですね、何も悪いこと、してないのに・・・。」
「そうなんだ、可哀想だけど、次のことを考えると『泣き寝入り』が良い、なんていう
とんでもないアドバイスになっちゃうんだ。ゴメンな、力になれなくて。」
「いえ、先輩も何も悪いこと、していないじゃないですか。
勉強になりました、ありがとうございます。」
「じゃあ、Rさんに、『元気出して!』と伝えてくれや。」
(2008年7月作成)