A氏は、某大学の大学院時代から、インターネットでは名の知れたプログラマであった。
そのA氏は、卒業と同時にインターネットを使ったバーチャルモール・サービスの会社Yを
設立した。
会社の設立には、名の知れたプログラマであるA氏に期待する個人投資家が何名も
出資した。
バーチャルモールの出展者は、画面の作り込みの良さや、
営業部隊の活躍によって堅調に伸びていった。
A氏は、本業が軌道に乗り始めたことをきっかけに、そのバーチャルモールとは別に、
ボランティア活動を支援するソーシャルネットワークサービスを企画した。
その企画の斬新性に特許性があると考え、弁理士Bを呼んだ。
B:「確かに斬新なサービスのようです。
先ほど、A社長が退席されている時間に特許調査をしてみましたが、
似たような特許出願は見あたりませんでした。」
A:「だったら、特許が取得できるね。じゃあ頼むよ。」
B:「しかし社長、このソーシャルネットワークサービス、公共性は極めて高いですが、
どのように採算を合わせていくつもりなのですか?」
A:「そりゃ、本業で稼いで、そっちの利益をつぎ込むのさ。」
B:「それでは、単独でビジネスとして成り立ちませんから、
投資家の皆様が納得しないのではないですか?」
A;「私は、このサービスを実現して社会貢献をしたいんだ。
金のある大企業は、いずれこうした社会貢献をせざるを得なくなる。
その時に大きな力を発揮するんだ。」
B;「失礼ながら、御社の現在の規模では実現、運営は困難ではないでしょうか。」
A;「君は弁理士なんだから、特許出願書類を依頼されたら、作ってくれればいいんだ。」
ちなみに、内容が社会貢献なのだから、君も安く頼むよ。」
B;「この仕事に対して、私にも社会貢献を要求するのはおかしいです!
そういうことでしたら、お引き受けできません。」
B氏は、覚悟を決めて発言した。出過ぎたアドバイスがきっかけだったが。
(2008年7月作成)