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◎出過ぎたアドバイス(フィクション)

 A氏は、某大学の大学院時代から、インターネットでは名の知れたプログラマであった。
そのA氏は、卒業と同時にインターネットを使ったバーチャルモール・サービスの会社Yを
設立した。
 会社の設立には、名の知れたプログラマであるA氏に期待する個人投資家が何名も
出資した。
 バーチャルモールの出展者は、画面の作り込みの良さや、
営業部隊の活躍によって堅調に伸びていった。

 A氏は、本業が軌道に乗り始めたことをきっかけに、そのバーチャルモールとは別に、
ボランティア活動を支援するソーシャルネットワークサービスを企画した。
 その企画の斬新性に特許性があると考え、弁理士Bを呼んだ。

B:「確かに斬新なサービスのようです。
  先ほど、A社長が退席されている時間に特許調査をしてみましたが、
  似たような特許出願は見あたりませんでした。」

A:「だったら、特許が取得できるね。じゃあ頼むよ。」

B:「しかし社長、このソーシャルネットワークサービス、公共性は極めて高いですが、
   どのように採算を合わせていくつもりなのですか?」

A:「そりゃ、本業で稼いで、そっちの利益をつぎ込むのさ。」

B:「それでは、単独でビジネスとして成り立ちませんから、
   投資家の皆様が納得しないのではないですか?」

A;「私は、このサービスを実現して社会貢献をしたいんだ。
   金のある大企業は、いずれこうした社会貢献をせざるを得なくなる。
   その時に大きな力を発揮するんだ。」

B;「失礼ながら、御社の現在の規模では実現、運営は困難ではないでしょうか。」

A;「君は弁理士なんだから、特許出願書類を依頼されたら、作ってくれればいいんだ。」
   ちなみに、内容が社会貢献なのだから、君も安く頼むよ。」

B;「この仕事に対して、私にも社会貢献を要求するのはおかしいです!
   そういうことでしたら、お引き受けできません。」

 B氏は、覚悟を決めて発言した。出過ぎたアドバイスがきっかけだったが。

(2008年7月作成)