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◎特許の値段(5)

 なぜ、コスト・アプローチ、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ
という3つの方法のいずれも不合理なのか?

 コストアプローチとすれば、特許取得に要した特許印紙代、弁理士手数料などを
大きく超えられないのです。
 そんな値段で売りたい場面は、関連部門の閉鎖時、会社精算時など、消極的な場面ばかりでしょう。

 他社にライセンスをしている特許であれば、そのライセンス料から
インカムアプローチとすることは合理的かもしれません。
 しかし、自社実施の特許では、インカムがいくらなのか不明ですし、
自社実施を継続したい特許ならば、売りたくないですよね・・・

 マーケットアプローチが困難な理由は、特許が唯一無二だからこそ成立した、
というその特性にあるわけです。
 多くの売買事例があれば、参考にできる事例があるかもしれませんが、
特許はそれほどの売買事例がありません。
 また、製品と1:1で対応して特許が成立しているわけではない、という事情もあります。

 だから最初に書いたでしょ、
売りたい人と買いたいひととが、交渉して決めるのが一番だ!  って。

 客観的な価格決定、といった目標は無意味で無駄である、ということに
気づくのに時間が掛かっているということは、残念である一方、
気づくまでの過程は、気づいたヒトにとっては無駄にならないはずでしょう。

(2008年8月作成)