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◎発明届け出書の限界

 ある発明届け出書(発明支援ノート)をお預かりしました。
ある学習ツールなのですが、素材について言及されている箇所は
見あたらなかったので、それには触れずに、特許明細書の案を作成しました。

 すると、発明者さんが、

  どんな素材でも特許でカバーしたい、という意図なので、
  素材については何も記載しませんでした

とおっしゃいました。続けて、

  たとえばAを素材とすれば、こんなメリットがあるし、
  Bを素材とすれば、あんなデメリットが解消されるし、
  色々あります。

と説明が続きます。

  そういうことは、特許明細書に書いておかなければ
  権利主張をする際に不十分になります。
  発明届け出書に、できるだけ書いておいてください。

とお願いしました。
しかし、その発明者さんは、

  素材を限定したら権利範囲が狭くなるのではないのですか?

との疑問を口にされました。

 特許請求の範囲ではその通りですが、
「どんな素材でも権利範囲」と主張するには、不十分である虞がある、
ということは、なかなか理解していただけませんでした。

 発明届け出書には限界があるので、インタビュー能力が重要、
ということを、改めて感じました。

(2008年8月作成)