商標を専門とする弁理士さんと一緒に仕事をしたときのことです。
相談された内容からは、ほぼあり得ない例外事項の説明に時間を要する彼。
難しい事例に必死に耳を傾ける相談者。
彼の専門領域ではありましたが、「待った」をかけました。
「彼が説明した内容は、今回の件ではまずあり得ないので、
××、というようなことが出てきたらもう一度相談すべし、
とだけ覚えておいていただけますか。」
相談者が退席された後、彼と二人で話をしました。
例外であってもリスクについての説明はちゃんとしておくべき、
と主張する彼に、こう説明しました。
今回の相談者では、なかなかあり得ないケースについて説明してしまったら、
大事な原則の方を忘れてしまって帰ってしまう。
大事な場合について社に帰って説明できなかった場合の方が問題ではないか!
今回の相談者の相談事を的確に捉えて、そこに対して的確に答える。
それ以外は最小限にしなければ、「的確な答え」を「それ以外」が邪魔して忘れてしまう。
相談する側の立場に立つ、という事例の一つとして、
たまたま私が気づいた点をご紹介しました。
彼の専門領域だからこそ冷静に見ることができたのであり、
自分の専門領域では、逆になっていたかもしれません。
(2008年11月作成)