あるプロジェクトで、ある中小企業の社長ヒアリングに出向きました。
色々と参考となるお話を聞くことができたのですが、その中の一つをご紹介します。
その企業にて開発した技術を国際出願をした、ということに話が及んだときです。
(このヒアリングには、特許庁の方が同席されていました。)
この技術は、いろいろな国で特許が成立しているのに、
日本では拒絶理由通知などが来て、まだ特許になっていない!
特許庁の方の前で言うのも何だが、我々は特許を取るために出願しているのであって、
そのためにお金をかけているのだ、拒絶なんかされては困るのだ!
実務をしていると、一度くらい拒絶理由通知が来ることなど当たり前、
という感覚になってしまいますが、
何のために出願しているのか・・・それは特許を取得するため。
この極めてシンプルな回答に、ちょっと圧倒されてしまいました。
中小企業にとって、特許出願に掛かる費用は「資本投入」であり、
特許されない出願は大失敗、という判断なのです。
出願が拒絶されるのは発明内容に進歩性が欠けていたからであって
その責任は出願した企業にある
というのは、理屈ではその通り。
しかし、そんな理屈は、こうした現場では通用しない厳しさがあります。
(2008年12月作成)