弁理士が特許明細書の作成、という仕事から、
ウィングを広げて(中小企業の)知財コンサルティングを身に付けよう、
という声があちこちで聞かれます。
身に付けるのに最初のハードルとなるのは、仕事の対象の相違です。
すなわち、特許明細書は「案件」が中心であるが、
一方の知財コンサルティングは「ヒト」が中心である、
ということを体得できるかどうか、であると思います。
別の項で、観光バスの運転手とタクシーの運転手という話を出しましたが、
それに似ています。
運転(特許明細書の作成)そのものも仕事としてやりがいはあるが、
運転を前提に、ヒトに深く関わる仕事(知財コンサルティング)はもっとやりがいがある。
そう思えるかどうか!
案件には興味があるが、ヒトがどうであるか、というあたりは面倒くさい、苦手だ、
と思うタイプの方には、知財コンサルティングという領域で評価を受けるのは難しい。
言い過ぎでしょうか。
A、B、Cという条件の案件だから、αという対策が考えられる
というように、唯一の答えを出していくことは、中小企業における仕事の本質ではない。
どのようなヒトによって運営されている組織なのか、
どのような性格や歴史を持つ組織なのか、
こういう場合に、どのような判断をする経営者なのか、・・・
といったことを、一生懸命、汲み取ろうとしない限り、
上記αという対策、提案を出しても失敗に終わってしまう。
いくつかの経験を通じ、
『中小企業に対する知財コンサルティングは「ヒト」が中心』 という信念を持つにいたっています。
(2009年2月作成)