拒絶理由通知を受け取り、出願人のご担当者に転送する際、
進歩性の判断を求められる場合があります。
補正書&意見書を提出しても特許されないのであれば、
余計な費用を掛けたくない、というのが大きな理由です。
ところが、補正書&意見書の方針や骨子ができないことには、
特許になるかどうかの判断は、到底できません。
案件の内容が複雑だったり、引例が多かったりすると、
方針や骨子を作成するだけで多くの時間が必要となります。
方針や骨子を作成したのに、「拒絶理由通知に対応せず」
という判断が出願人から出るのは、少々辛いところ・・・
さて、このように書いてみたところで、
特許事務所の業務は、それで当たり前!
と思われる方も少なくないかもしれません。
が、出願人様が大企業かそうでないか、で、
ずいぶん中身が異なります。
大企業様の場合には、「こういう補正ならどうか?」
という意見交換ができることが多いのですが、
小規模企業の場合には、意見交換ができる可能性が低い。
特許法なり、審査の運用などをご存じないので、
「意見」を交換するのではなく、一方的な要望となる可能性が高いのです。
たとえば、出願人様が中小企業やベンチャー企業の場合には、
方針や骨子にて、「特許査定を勝ち取る可能性が高くはない」
という見解を示しても、
何とかならないか!
という要望を頂き、現状製品の説明などを受ける場合があります。
そのため、「何とかならないか!」の後に、
見解書ver.2を作成することになる。
その見解書ver.2は、更に時間が掛かる上に
手数料を頂けない可能性を含んでいる。
このときの孤独感は、正直なところ、かなり辛いです。
しかし、この孤独感を経験していないと、
中小企業やベンチャー企業からご依頼いただく仕事は、
凄く辛くなることでしょう。
経験していても辛いのですから。
(2009年7月作成)