ある中小企業からの依頼で、社員の勉強会講師をさせていただいてきました。
特許出願も商標出願も経験があるものの、営業部門に知財の知識を浸透させたい、
という社長様の狙いがあったようです。
さて、その社長様から
先週届いたんです
という商標の登録証を見せていただきましたところ、
その登録証には、四文字のカタカナと平仮名がゴシック体の横書きで二段併記されていました。
たとえば、こんな感じ。↓↓↓
トッキョ
とっきょ
この登録商標では、カタカナだけ四文字 あるいは 平仮名だけ四文字
が登録されていることにはならないですよ。
どちらかだけで使ったら、他人の商標権の侵害になるおそれだってあります!
と私が説明すると、社長様を含めた出席者全員から驚きの声。
先ほどご説明したように、商標は「マーク」なのです。
この登録商標は、カタカナと平仮名とが二回繰り返されているから登録された、
と考えてください。
出席者の中には、その登録商標を使う部署の方もいらっしゃり、
カタカナのバージョンと平仮名のバージョンの両方を使う可能性がある
だから「よろしく!」 と・・・
出願を担当した特許事務所や弁理士を責められません。
依頼内容との関係で、カタカナと平仮名の両方が登録されたように見せることができる、
最も安い手段を選択したのでしょう。
しかし、「登録商標とは何か」ということを社内の誰もが理解していなかったとすると、
問題は小さくはないかも・・・
(2010年6月作成)