試験問題にて目にする事例は、実際に起きた事件に基づいて作問されていることが少なくありません。
有名な判例は抑えておけ、と言われるゆえんです。
では、判例を知っていればいるほどよいのか?
(知らない判例に基づいて作問されたら勝負にならないのか?)
という不安が、いつまでも拭えないのが受験生心理ではないでしょうか。
私は、その事件の概要や結論を知らないと勝負にならない、とは一概に言えないと考えます。
確かに、知っているという受験生の割合が多ければ勝負にならない可能性は高まります。
しかし、試験の最中は、「自分だけが知らない事件に基づいた作問」なのかどうかは、判断ができません。
不安を払拭し、集中して「結論および理由」などの答案作成に向かうべきなのです。
蛇足ながら付け加えると、たくさんの判例を知ろう、という姿勢の受験生は、
事件の概要と結論ばかりを覚えようとして、その事件をどのように考えるのが法律的なのか、
結論と反対の考え方に合理性はないのか、
といったロジックの部分を疎かにしているように感じます。
論文試験では、知っているか否か、よりも、論理的に考えられるか否か、が問われるので、
ロジックを疎かにして多くの判例を知るよりも、
少ない事例でもじっくりと分析する、という勉強法の方が合理的である、
(ロジックを疎かにしている受験生が多いので、相対的にも有利)と確信しています。
(2010年8月作成)