弁理士業という世界から聞こえてくる
試験にもっと実務を
という声。
その本音は、いろいろあるのでしょう。
しかし、その声に惑わされて、法律科目試験の本質を見謝った受験生が増えてはいないでしょうか?
弁理士試験は、特許法、商標法など、「法律」という「学問」の試験であり、試験科目にそう書いてあります。
弁理士の実務、という科目は無い。だから、実務ではどうなっている、という知識は試験での回答には不要。
理由付けにもならないし、不正解とも言えます(実務の知識が不要、ということではありません)。
経験を積んで掴んだ「実務のみの知識」は、学問ではない。
学問ではないから正解がない。正解がないと採点できない。
だから、実務での知識は、そのままでは試験の回答には使えないのです。
しかし、実務に学問的な裏付けがあるはず、という姿勢で勉強することは重要です。
裏付けが取れた知識は強い。 学問的な知識を厚くするので、応用も利く。忘れにくいし思い出しやすいから。
実務に惑わされる受験生は、「本質は何か」という探求を疎かにする傾向があるように見えます。
本質を掴んでいない資格者が指導者になっている(だから惑わされるんじゃないか!)、
ということは事実なのかもしれません。しかし、それは単なる責任転嫁です。
自分でもっと責任を持って勉強しよう。きちんと本質を、学問を探究しよう。
本質の探究をショートカットしようして、惑わされ続けて時間もお金も損するだけだから。
ちなみに「試験にもっと実務を」という声は、私が知る約20年前からありましたよ。
(2010年12月作成)