私などが述べるまでもないのですが、
特許明細書の作成においては、具体的な実施形態や図面から抽象的な請求項を案出する、
言葉を紡ぎ出す、というスキルが必要となります。
さて、このスキルを、別の場面(すなわちコンサルティングの場面)で生かせるのではないか、
というのが、知財コンサルティングを志す人の中に生まれるのは、自然なことだと思います。
多少の経験を積んだ私が付け加えるなら、
物事の本質を言葉に変換していくスキルに加え、
図表を作成するスキルが、コンサルティングには必須である
ということです。
多くの特許明細書が、明細書だけではなく図面を必要とするように、
直観(右脳)に働きかけ、分かりやすく伝える
ということが様々な場面で求められるのがコンサルティングだからです。
換言すれば、
正確に表現されていても、読み手の言語能力が低ければ伝わらない
伝わらなければ、表現した側の負け!
特許明細書の読者は、特許庁の審査官だったり、企業の担当者ですが、
コンサルティングにおいてコミュニケーションをするのは、知財関係者ばかりでなく、
企業の経営者等の場合もあるのです。
つまり、「法律的、技術的な知識およびそれを表現された言語」を読解する能力を
備えていない場合もある(というか圧倒的に多い)ということです。
特許明細書の読者は、分からなければ議論したり、審判を請求するなどの「争う」場面が
用意されていますが、
コンサルティングにおいてコミュニケーションする方々とは、争うどころか、
説明、説得する機会もあるかどうか、なのです。
そして、伝わらなければその時点で「レッドカード一発退場」もあり得るのです。
レッドカード、イエローカードを何度も経験してようやく分かってきたことです。
最初は、イエローカードを出されていることさえ察することができなかったのですけど。
(2011年4月作成)