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◎自炊業者の提訴の事件から

 作家、漫画家らが、「自炊業者(*)」を著作権法違反で提訴した、というニュース報道がありました。
私は、本ブログにおいて時事問題を避けるようにしているのですが、ちょっと例外として。

 漫画喫茶、というビジネスが始まってから10年近くが経つと思います。
このビジネスによって、どういう現象が起きたか?
ヒット作が一つしかない若手漫画家の本は、漫画喫茶において読まれてしまうために売れなくなりました。
その結果、若手漫画家は、次のヒット作までを食いつなぐことができず、漫画を諦めていく・・・

 「島耕作」で有名な弘兼憲史さんらは、若手漫画家をつぶしていく漫画喫茶というビジネスがおかしい、
と主張しました。
 もともと、漫画喫茶が合法だったのは、昔々、日本が貧しい時代の「貸本屋」という商売を
著作権法において例外的に扱った方が、著作権法の目的である文化の発展に寄与するであろう
という趣旨だったのです。
 弘兼憲史さんらの活動によって、新たに漫画喫茶を開店することは実質的には不法である、
という状態に法改正されたのです。

 私には、弘兼憲史さんら原告が自分の利益のために行動しているようには思えません。
今回の提訴は、まだヒット作が少ない若手作家を守るための行動だと解釈しています。

 (*)「自炊」とは、自分で購入した本を裁断し、スキャナで読み込んで電子データ化すること。
  自分の本を預けて電子データ化することを代行する業者を「自炊業者」と言います。

    (2011年12月作成)