私が知的財産に関わる仕事をするきっかけとなった本があります。
弁理士の資格を取得した直後、その本の著者にお会いしました。
当時、大学の名誉教授であり工学博士でありながら仏教にも詳しいその先生は、
特許の「独占」という考え方がお嫌いである、とのことでした。
仏教では、持てる者は持たざる者に与えよ、と教えている
というその先生のお考えは、いくつかの著書にて存じ上げていたので、
特許は独占だけでなく、公開することにも本質があります
と拙い言葉で一生懸命お伝えしました。
しかし、実務経験も浅くて説得力に欠け、思い入れもあったせいでしょう。
私の思いは伝わりませんでした。
それから20年あまりが経過しましたが、今でも
特許は分け与えてこそ価値があり、輝くモノである
という考えに揺るぎはありません。
正月早々に読んだある本を通じて、またその信念を新たにしました。
(2013年1月作成)