書店で手に取った文庫本。高校生の時に熱中した作家の短編集だった。
それこそ、夢中で読み漁った作家だった。
懐かしさも手伝って、すぐさまレジへ。
午前の休みを届け出て子どもの卒業式に列席。
午後の仕事を終え、何となく呑みに行った帰りの電車で、その文庫本を開いた。
3つめの短編のタイトルに、間違いなく見覚えがある。
つまり、ことがあるはずの短編。
しかし、読み進めても、全く記憶に残っている箇所がな・・・
自分の手帳の中には、子どもの入学式の写真。
3年があっという間に過ぎたのだ。
そして、30年前に読んだはずの小説に、何らの引っ掛かりもない。
3年も、30年も、あっと言う間に過ぎるのだ。
いや、時の流れのスピードに、異議を申し立てる自分が、心の底に住んでいる。
(2013年3月作成)