最近、ある委員会で特許庁審査官と議論する機会があります。
その場では、特許法36条の記載要件について議題となっていますので、
仕事には大変参考となります。
議論した中で、印象に残っている事例をご紹介します。
審査基準では、「高温のA部材」という言葉があった場合に「高温」が何と比べて温度が高いのか、
不明確である、となっています。
しかし、この基準を単独で適用する必要はない、という趣旨のことを審査官からお聞きしました。
すなわち、「A部材」が記載された先行技術が存在するならば「高温のA部材」は不明確、だが、
先行技術が存在しないならば「高温のA部材」が不明確とならない場合がある。
「高温の」という部分を無視し、あるいは「ある温度のA部材」と読み替えれば済むのだから。
なるほど、と思いました。ただし、その審査官は、
私はそう判断しますが、審査基準どおりに「不明確」とする審査官もいるかもしれません
と付け加えました。
議論していただいた審査官は、出願人の自己責任で記載している言葉を尊重する、というのが、
私の(審査)ポリシーである、ということを強調されていました。
(2013年10月作成)