知財ライセンス交渉の達人M氏を交えて一杯やる機会がありました。
M氏は、技術的ノウハウを他社へライセンスする仕事を数多く手掛けられ、
多くの関係者から「タフネゴシエータ」と呼ばれています。
その彼が愚痴のようにこぼしたのが、
メーカの役員さんから社外取締役になった方が、
「ライセンス対象をなぜ特許出願しておかないのだ?」
と詰問してくる。
商品として出回るモノしか造ってこなかった役員さんだから
製造プラントにおける技術を出願しては一利なし、ということを
理解できない、してくれない・・・
という趣旨のことでした。
私は、別の意味で感心してしまい、
10年以上前だと、メーカの役員さんが社外取締役になられて、
「特許云々」ということを発言されたりしなかったと想像します。
偉くなる方々も、特許に関心を抱くようになったのですね?
と質問を投げかけてみました。 すると、意外な方向からの答えが。
メーカの役員クラスの人は、知識だけは仕入れている。
しかし、自分の経験とそれを補う知識を入れて「固まっている」から、
ノウハウを出願して技術が流出しても特許権侵害を発見できない、
といったことを、どれだけ説明しても聞く耳を持たないんだよ・・・
タフネゴシエータとして知られているMさんの一番手強い相手は、
頭の固い身内だったんですね、と笑ってしまいました。
Mさんには、「笑い事じゃないんだよ」と怒られてしまいましたが。
難敵は キレる奴より 固い奴
(2014年2月作成)