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◎タフネゴシエータの難敵

 知財ライセンス交渉の達人M氏を交えて一杯やる機会がありました。
M氏は、技術的ノウハウを他社へライセンスする仕事を数多く手掛けられ、
多くの関係者から「タフネゴシエータ」と呼ばれています。
 その彼が愚痴のようにこぼしたのが、

   メーカの役員さんから社外取締役になった方が、
   「ライセンス対象をなぜ特許出願しておかないのだ?」
   と詰問してくる。
   商品として出回るモノしか造ってこなかった役員さんだから
   製造プラントにおける技術を出願しては一利なし、ということを
   理解できない、してくれない・・・

という趣旨のことでした。
 私は、別の意味で感心してしまい、

   10年以上前だと、メーカの役員さんが社外取締役になられて、
   「特許云々」ということを発言されたりしなかったと想像します。
   偉くなる方々も、特許に関心を抱くようになったのですね?

と質問を投げかけてみました。 すると、意外な方向からの答えが。

   メーカの役員クラスの人は、知識だけは仕入れている。
   しかし、自分の経験とそれを補う知識を入れて「固まっている」から、
   ノウハウを出願して技術が流出しても特許権侵害を発見できない、
   といったことを、どれだけ説明しても聞く耳を持たないんだよ・・・

 タフネゴシエータとして知られているMさんの一番手強い相手は、
頭の固い身内だったんですね、と笑ってしまいました。
 Mさんには、「笑い事じゃないんだよ」と怒られてしまいましたが。

   難敵は キレる奴より 固い奴

   (2014年2月作成)