ライセンス交渉の現場に同行して欲しい、という急なご依頼をある社長さんから頂戴しました。
ライセンスの対象となる技術が自分の専門外だから、と申し上げたのですが、
技術云々ではなく、とにかく来てくれ、ということでした。
そのため、その技術の予備知識を入れる暇もなく、同行することになりました。
ご依頼を頂いた社長さんも、その技術に詳しいわけではない、とのことだったので、
不安を抱えながらの同席でした。
結局、技術の内容に踏み込んだ話し合いまでは至らず、両社の基本姿勢を探る、
というような段階の交渉である、ということが、その現場で分かってきました。
その交渉の後、社長さんが私に質問されました。
彼はホンモノだと思うか?
交渉相手が人間として信用できるのか、という質問です。
向こうの社長さんには、どうも安心できない感じを受けました
と、私が感じたままを答えると、
やはりそうか。私もそう感じたのだが、君もそうか。
と納得をされた顔となり、
よし、あそこ(交渉した相手)は、切ろう(取引を止めよう)!
と決断されました。
依頼をくださった社長さんは、自分以外の人間の直感を欲していたのかな、
と思いました。
技術内容の理解は不要、という最初の依頼も、目的がそうだった、
ということなら合点がいきます。
自分以外の人間として私を人選した、という点には疑問が残るのですが(笑)。
(2014年10月作成)