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◎意欲を奪われる環境とその原因(1/2)

 日本人は、人生の多くを費やす仕事の時間を充実させようとしていないのだろうか?

米国に長くいた知人が、働く人の生産性を国別に比較した統計を見て疑問を呈しました。
その統計では、ざっと言えば、日本人の生産性は欧米人の7割程度でした。

 この疑問に関連する情報として私が知人に伝えたのは、

    日本は、経営サイドからは許しがたいような従業員でも、
    退職させるのは極めて困難であるように、各種の法律が整備されている。
    たとえば、「生産性が低い(たとえば平均の半分以下)からクビ」と、
    経営サイドから雇用契約を解除できないのが現状である

日本は、こうした社会インフラとなっていますよ、と。
 つまり、やる気が無い「ぶら下がり族」にとっては、就職してしまえばなかなかクビにはならない、
という日本の大企業は、少なくない、という現状が背景にあります。
 (雇用者の経験をしてみて、こうしたインフラが大きな重荷となることを実感しました)

 就職してしまえば天国、なんていう企業は、大小を問わずありません。
 中小企業の場合、業績が悪いというのは、末端の従業者でも分かるし、
自分が解雇要請を受け入れないぞ、と頑張ったところでどうにもならない、と従業者が分かっている。
だから、従業者が法律的な知識を持っていたとしても法律問題に発展することはあまり無いのでしょう。
(解雇の取消訴訟を経て、給与の数ヶ月分を支払って和解、という例もいくつか耳にしましたが)

 多くの日本人は「就職」ではなく「就社」となり、
あなたの職業は何ですか、との質問に対して所属組織の名前を答える、といったことにつながっている。
 組織に守ってもらえているから、安心して仕事に打ち込める、
というのが日本人のベース(私よりも上の世代の方々は特に)なのでしょう。

   私は学生の頃、「あなたの職業は?」という質問に「XXに勤めています」と、
   所属する組織の名前を返答するオトナが大嫌いでした(未だに好きではないですが)。

 最近では、社名ではなく職業を答えるヒトが増えていると感じますし、個々人が変化しているようです。
更に個々人が変化してくれば、それを雇用する組織も変化してくるのではないか、と私は考えます。

   (2015年2月作成)