K氏の立場に立ってみれば、社員からの信頼を獲得する、ということにまで、
気を向けてはいられないし、それをしてはいけないのかもしれません。
社員からの信頼を得るよりも、
社長からの信頼を得ることの方が遙かに重要だからです。
私には前述してきたK氏とは逆の、苦い経験があります。
ある中小企業へのコンサルティングに、知人の中小企業診断士さんとともに、
トライアルのような形で関わりました。
コンサルティングを受けて下さる会社からは、窓口担当者として、
ナンバーツーの専務取締役を据えて頂きました。
専務さんは、技術や、販売の責任者など、各部門のトップをミーティングに参加させてくださり、
活発な議論や問題点の明確化など、ヒアリングや提案などが順調に進みました。
そして、専務さん以外の社員さんからも信頼を勝ち取りつつある、という感触がありました。
しかし、結果として、契約を継続して頂けませんでした。
4回に及んだトライアルミーティングに、社長様が一度も出席してもらえなかったことが、
最大の原因であっただろう、という意見で、中小企業診断士さんとは一致しました。
一度でも出席いただければ、信頼を勝ち得たのに、と悔しい思いをしました。
多くの幹部社員、ナンバーツーである専務さんの信頼を勝ち得ても、
社長さんの信頼を勝ち得なければ、仕事にならないのです。
(2015年10月作成)