「コンサルティング」の場面に限りませんが、
ビジネスシーンでは、
正論ばかりをぶつけてもダメ
という場面がよくあります。
さて、知財コンサルティングにおけるヒアリングや提案の場面において、
正論ばかりを主張する
ということが見られます(自分にも覚えがあります)。
今は、そういうことにだいぶ気付けるようになっていますが、
なぜ気付けなかったのでしょうか。
「未熟」なり「経験不足」といった言葉で片付けてしまいがちでしたが、
どうもそうではない、ということにも薄々感づいていました。
知財というフィールドの仕事は、
他部門、他業種に比べ、理不尽な出来事に慣れていない
ということが、根本的な問題ではないのか?!
今はそう考えるに至っています。
理詰めで闘いさえすれば、行政である特許庁といえども
特許査定(または特許無効)を勝ち取ることができる。
そして、その結論さえ出せれば仕事はほぼ終わり(言い過ぎでしょうが)。
法律その他の理論を学び、相手より優れた理論構成さえすれば勝てる。
ところが、一般のビジネスでは、「売れたか」、「目標利益を出せたか」
という責任が問われる。理詰めで「売れるはず」としても、
様々な、時には理不尽な理由が目標達成を阻む・・・
正論が通用しやすいから知財の仕事が好き、という日常の仕事をしているだけでは、
理不尽な経験を日々積んでいる経営者に、正論による提案など通じないわけです。
理不尽さが身に染みている経営者に正論をぶつけても、
受け入れてもらえることは滅多にありません。
(2015年11月作成)