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◎知財実務という生活習慣病(1/5)

 知財実務とコンサルティングとでは、仕事の質が異なる。
このことは、私が色々な場面で発言していることですが、言い方を変えて述べてみます。

   顧客から求められるコンサルティングは、知財実務の延長線上にあるが、
   コンサルティングを進めていく能力は、知財実務の延長線上にはない。

 コンサルティングを進めていく能力のひとつとして、企画力があります。
この企画力について、一部の知財実務家は、以下のように解釈しているようです。

   発明を把握し、特許明細書を作成していく構想力に類似している。
   だから、特許実務で鍛えた能力が、コンサルティングに直結する。

というものです。
 しかし、私は自分の経験から、上記の解釈は不適切だ、と判断しています。

 特許実務での構想力は、緻密さや論理的であることに極めて重きがありますが、
コンサルティングにて求められる企画力は、大きな捉え方、大胆な組み立てなどが重要です。
 コンサルティングに緻密さや論理的であることが不要である、というわけではないのですが、
大きな捉え方や大胆な組み立てをする段階においては、緻密さは邪魔になります。
使い分ける能力が要求されるのです。
(企画力を備えていなければ、そもそも「使い分け」ができません。)

 緻密さばかりが要求される仕事だけを習慣としている場合、
大きな捉え方や大胆な組み立てをする能力は育ちません。
そもそも大きな捉え方や大胆な組み立てができなくなります。
(そればかりか、大きな捉え方をした企画に対して、ネガティブな意見しか言えない)

 このコラムのタイトルを「知財実務という生活習慣病」と過激にしたのは、

   知財実務のみという生活習慣は、
  (企画力を中心とした)コンサルティング能力を磨くのに悪である

ということをお伝えするためなのです。

   (2016年2月作成)