専門サービス業の場合、本や学校では学べない「技能」が必ずあります。
知財の実務も、その「技能」が求められます。
(「技術」とは、客観的に伝達可能である、と知財業界では教科書に書いてありますから、
ここでは、あくまで「技能」です。)
知財の実務における「技能」は、多くの先人がほとんどボランティア精神にて、
その継承に尽力されてきました。
しかし、「ボランティア精神」の根幹を支える「経済的余裕および精神的余裕」が枯渇し始め、
時代が動いています。
「技能の継承」を持続可能としている組織は、大手企業、大手特許事務所だけになりつつあります。
しかし、「技能」を伝えるには、教える側に大きな負荷が掛かります。
この「負荷」とは、「教える技能」の習得に要する負荷、であると、
最近の私は考えています。
教える技能が不十分であるが故に、教える側も教えられる側も、多くの時間を必要とし、
また疲労し、疲弊してしまうのです。
この「教える技能」は、本業である「知財実務の技能」とは全く関係が無いため、
教える技能を身に付けた指導者が、なかなか育たない。
経営者は、「教える技能」をも身に付けた実務家を育てるための経済的負荷を負担する、
というコミットが経営者に求められてきます。
そのコミットができない(または不十分な)組織には、「承継」はできません。
(2016年8月作成)