コンテンツにスキップするには Enter キーを押してください

◎「職人的技能」の継承について(2/4)

 大手(企業または特許事務所)でなくても、現実には人材はちゃんと育っているではないか、
と指摘されることでしょう。
 育っている理由のひとつは、

   育てられた人の個人的な資質として、「技能」を学ぶ力が優れていたから

であろうと私は考えます。
 換言すれば、育てられる側の資質に依存しているだけであるし、
資質に恵まれていなかったら「落ちこぼれ」として、転職を余儀なくされるとか、
業界のジプシーになってしまう(この問題は、小さくないはずであるし、
多くの人が気付いてもいますが、時間とお金がなくては解決できない、と認識されているでしょう)。
 技能を身に付けていない実務家の卵は、自然、大手を目指すようになります。
特許事務所や大手企業の知財部に行きたがる若手が増えるのは、当然のことでしょう。

 大手でなくても人材が育っている理由のもうひとつは、

   教え好きの先輩方が比較的多い、という業界の特質

に依存していると、私は考えています。
 そうした先輩方が教える技能を身に付けているとは限らない、とは失礼ながら思いますが、
採算抜き、損得抜きで、教えてくださる先輩が多い(多かった?)と感じています。

 私が一人前の知財実務家に仮になれているとすれば、そうした先輩方のおかげです。
前述した「育てられる資質」が私になかったことは、自分の中では明確ですから。

     (2016年8月作成)