同業の友人から、主要顧客からの値下げ要求を跳ね返した、
というお話を聞いて拍手しました。
数多くの特許事務所との取引があったというその主要顧客は、
数年前に取引先を整理し始め、彼の事務所は生き残りました。
そして最近、生き残った取引先に対して、厳しい値下げ要求をしてきたそうです。
そして彼は、その要求は呑めない、と突っぱねたそうです。
どうして彼は闘うことができたのか。
この内容で出願して、と依頼されて書類作成するのではなく、
他の弁理士にはできない、発明者に寄り添って長いヒアリングをし、
発明を抽出するところからの仕事を毎回してきた
という自負が、その反発力を支えていたのだ、とすぐ判りました。
要求を呑まなかった彼の事務所のことは、
彼のことを知っているその会社の取締役が知ることとなり、
その取締役の「一言」で値下げ要求は撤回され、事態は収まったそうです。
知的財産権とは何が本質で、どういう仕事が本質的な仕事なのか
ということについて、その担当者(その上司を含めて)と彼とは
異なる考え方に基づいているということなのでしょう。
担当者やその上司という方々を、私は存じ上げません。
その彼らも、「目先のコストダウン(値下げ要求)が良いことではない」と
もしかしたら判っていたのかもしれません。
しかし、その思いがあったとしても、行動はその思いと逆なのですから、
判っているかどうか、なんてことは関係ないのです。
(「判ってはいますが、そこをなんとか!」と告げて値下げ要求を呑ませる、
という政治的手法は、どこかで耳にした気がします。)
(2016年11月作成)