コンピュータプログラムは著作物、著作物だから複製は勝手にできない(複製権)。
しかし、そのコンピュータプログラムを解析する「リバースエンジニアリング」は、
複製権侵害ではない。・・・ここまでは、教科書的です。
この教科書的な説明を授業でやった直後、
あるコンピュータプログラムを購入した学生さんから
「パッケージに、『リバースエンジニアリングを禁じます』と書いてありました。
だから、「リバースエンジニアリング」もダメなんじゃないですか?
と質問されました。
私は、
コンピュータプログラムの売買契約において、
あなたが支払った金額には、リバースエンジニアリングを認める権利は含まれない
という宣言(プログラム販売者による一方通行の通告)なのでしょう、と回答しました。
授業で聞いただけの知識では、
1)「本当かな?」と(自分の知識または講師に)疑いを掛ける
2)世の中と法律とはズレがあるのかな、本件はそのケースかな、と推察する
3)自分が教わっていない知識(例外)なのかな、と考える
というような思考(および判断)しかできない。
「リバースエンジニアリングは複製権侵害ではない」ということをプログラム販売者が知らない
のかもしれない、というように思考することは、知識に「自信」がなければできないことでしょう。
私のような回答は、売買契約に関する事例を知るという経験や、
販売者側の理論理屈はこういうものだという経験などが加味されています。
つまり、「経験」も伴わないと導けなかった回答、ということになります。
ここまでを大学という場で「学問」として伝えることではないと思った一方、
「自信」と「経験」が伴わなければ現場で役立つ知識にならないこともある、と実感しました。
なお、宣言をしておけば、知識不十分の消費者へ牽制効果があるのだなぁ、とも感じた
次第です。
(2018年7月作成)